いつも通勤・通学お疲れ様です。
人事異動・転職・転勤・転居・退社などで、定期乗車券(以下「定期券」)の払戻しを検討されている方がおられるかと思います。
今回は、定期券を払戻しする際に、どのように計算されるかをお伝えしようと思います。
なお、手数料などを含め各会社によって計算方法が異なりますので、基本的な内容をお伝えします。
そもそも「定期券」とは?
ご存知かと思いますが、定期券とは「あらかじめ種類・区間・経由・期間を定め、その区間・期間内なら乗り放題(同じ駅での出場は不可)になる乗車券」です。
期間は
- 1ヶ月
- 3ヶ月
- 6ヶ月
があり、
種類は、
- 通勤 … だれでも買える一般的な定期券
- 通学 … 学校への通学用に通勤より割引額が大きい定期券
があります。
どのように払戻計算されるの?
現在の運賃には「切符運賃」と「IC運賃」が存在しますが、定期券は「切符運賃」で1ヶ月30日で計算され、10日で1旬となります。
払戻しには、理由によって計算方法が異なります。
計算方法は、
- 「月割」 … (旧定期券の発行会社を含む)定期券の再購入の予定がない場合
- 「旬割」 … 区間・経由などを変更して(旧定期券の発行会社を含む)定期券を再購入する場合
- 「7日以内」 … 有効期間の開始日から7日以内(開始日を含む)
- 「全額」 … 購入後から有効期間の開始日前日まで
があり、申し出された理由と、定期券の内容によって係員が判断します。
他に、新規路線や新駅の開業などがあった際に、担当部所から個別に指示されて行う「日割」がありますが、ここでは割愛します。
各計算方法の計算式は、下記の通りとなります。
月割 | 購入額-使用期間の定期運賃-手数料 |
旬割 | 購入額-(購入額の日割額×10日×使用旬数)-手数料 |
7日以内 | 購入額-(購入区間の切符運賃×2回×申し出日までの経過日数)-手数料 |
全額 | 購入額-手数料 |
「日割額」の計算式は「購入額÷購入期間の日数=日割額(小数点以下切上げ)」となり、
1ヶ月30日、3ヶ月90日、6ヶ月180日です。
使用期間は、1日でも過ぎると「次の期間も使用した」として計算されます。
- 月割で、1ヶ月と2日使用 … 2ヶ月使用
- 旬割で、2旬と1日使用 … 3旬使用
「月割」の使用期間の定期運賃は、1・3ヶ月定期運賃の組み合わせになります。
- 2ヶ月利用 … 1ヶ月+1ヶ月
- 4ヶ月利用 … 3ヶ月+1ヶ月
手数料は、発行会社によって異なります。
どのくらい払戻し(返金)されるの?
先程計算方法を書きましたが、「結局いくら戻るの?」とお考えの方もおられると思います。
例として、
JR東日本 東北本線 上野~大宮 通勤6ヶ月 2022.4.1から有効
片道運賃:480円 手数料:220円
定期運賃:14,170円(1ヶ月) 40,370円(3ヶ月) 67,980円(6ヶ月)
の場合で計算してみますと、下記のようになります。
皆さんのお持ちの定期券に合わせて計算してみてください!
【月割】
今回の計算例ですと、4/1~30 1ヶ月目、5/1~31 2ヶ月目 … 9/1~30 6ヶ月目 となります。
2022.5.26 に申し出の場合(使用期間 2ヶ月)
67,980-(14,170+14,170)-220=67,980-28,340-220=39,420
払戻額:39,420円
2022.7.13 に申し出の場合(使用期間 4ヶ月)
67,980-(40,370+14,170)-220=67,980-54,540-220=13,220
払戻額:13,220円
2022.8.2 に申し出の場合(使用期間 5ヶ月)
67,980-(40,370+14,170+14,170)-220=67,980-68,710-220=▲950
払戻額:0円(払戻し不可)
【旬割】
今回の計算例ですと、67,980÷180=377.666… 小数点以下切上げで、日割額は378円となり、
4/1~10 1旬目、4/11~20 2旬目、… 6/1~10 7旬目、… 9/21~30 18旬目 となります。
2022.5.1 に申し出の場合(使用期間 4旬)
67,980-(378×10×4)-220=67,980-15,120-220=52,640
払戻額:52,640円
2022.6.25 に申し出の場合(使用期間 9旬)
67,980-(378×10×9)-220=67,980-34,020-220=33,740
払戻額:33,740円
2022.9.15 に申し出の場合(使用期間 17旬)
67,980-(378×10×17)-220=67,980-64,260-220=3,500
払戻額:3,500円
【7日以内・全額】
2022.4.1 に申し出の場合(経過日数 1日)
67,980-(480×2×1)-220=67,980-960-220=66,800
払戻額:66,800円
2022.4.7 に申し出の場合(経過日数 7日)
67,980-(480×2×7)-220=67,980-6,720-220=61,040
払戻額:61,040円
2022.3.31 までに申出の場合(経過日数 0日)
67,980-220=67,760
払戻額:67,760円
払戻しの対応時間に間に合わない場合はどうするの?
定期券の払戻しは、どの様な計算がされているか、ザックリとでも理解できたでしょうか?
中には『今日までに払戻さないと金額が変わってしまうが、仕事等で窓口の営業時間に間に合わない!』という場合が起こるかもしれません。
その様な時は、定期券の対応窓口の営業時間外(最終列車まで)に係員に申し出て「払戻申出書」という書類を発行してもらってください!
「払戻申出書」とは、字のごとく「お客様が、この日に定期券払戻しの申し出がありました」と証明する書類です。
この「払戻申出書」を後日、定期券と共に提出すると払戻申出書の申し出日に払戻しをしたとして計算されますので慌てなくても大丈夫です!
払戻申出書を発行された後に定期券を使ってしまうと、書類の効力が切れてしまいます
払戻し手続きが終わるまでは、絶対に定期券を使用しないでください!!
定期券を払戻すにはどうすればいいの?
では、実際に払戻し手続きを受けられる場合の流れをお伝えします。
まず、窓口に来られる際は下記の
- 払戻す定期券
- 身分証明書(免許証・保険証・社員証など)
- 購入時に使用したクレジットカード(購入時にクレジット決済された場合)
- 払戻申出書(定期券窓口の営業時間外に申出た場合)
を持参してください。
定期券の払戻しに対応している窓口に用意してある「定期券払戻申込書」に必要事項を記入して、係員に持参した上記一式と、払戻申込書を一緒に提出して理由を伝えると払戻しされます。
※この時に理由を何も伝えないと、再購入予定なしと判断され「月割」で計算されてしまう可能性があります。
この時に、再購入予定の場合は新しい定期券を購入する事になりますので、払戻申込書の他に「定期券購入申込書」に新しい定期券の内容を記載し、一緒に提出してください。
「通学」定期券の区間等を変更する場合は、新しい区間の「通学証明書」の提出が必要です!
通学証明書に記載されている区間が古い場合は、新たに発行してもらうか、訂正して学校で訂正印を押してもらってから手続きしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
定期券は意外とお得な乗車券ですが、払戻しをされるとあまり戻ってこないのがご理解いただけるかと思います。
要約すると、定期券は払戻し理由によって計算方法が異なり、全く使わなくなる場合は「月単位」、変更する場合は「10日単位」で計算されます。
そのため、「6ヶ月が一番お得だし、とりあえず最大の期間を買っておこう! 後で払い戻せばいいし!」と思い購入されると、「3ヶ月と数日しか使ってないけど要らなくなった… 駅の窓口に聞いてみたけど、期間の約半分くらいしか使ってないのに払戻額が少ないよ…」という状況になりかねません…
ですので、定期券を購入される際は、ご自身の利用予定に合わせた期間で購入されてください!
また、払戻し対応時間に間に合わない場合は、「払戻申出書」の発行を依頼して、後日払戻しを受けてください。
お勤め先の指定などで購入内容が指定されている方々もおられるかと思いますが、これから定期券を購入される予定の方や、転勤・転居などで買い替えを予定される方の参考になれば幸いです。
では、本日もお気をつけて行ってらっしゃい!
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